
「今の仕事に向いていない」、「やりたいことがある」などの理由によって、異業種転職をする人は多いです。
やりがいの持てる仕事に就くことはとても大切ですが、生活に直結する年収が下がるとなると、どちらをとるべきか、非常に悩ましい問題ですよね。
この記事では、異業種転職で年収が下がるケースと、注意点について紹介します。
転職は人生の転換点です。
後悔しないために、自分が一番大切にしたいのは何か、整理してみましょう。
【こんな悩める会社員へ】
・異業種転職を考えているが、やりがいと年収どちらを優先すべきか悩んでいる
・30代で転職を考えているが、年収が下がらないか不安
・異業種転職で後悔したくない
もくじ
異業種転職で年収が下がる3つのケース
異業種転職で年収が下がるケースは、以下の通りです。
・大手企業から中小企業へ異業種転職する場合
・30代以上の異業種転職は年収が下がる覚悟が必要
・焦って転職先を決めてしまった場合
大手企業から中小企業へ異業種転職する場合
大手企業から中小企業へ異業種転職する場合は、年収を含め、福利厚生などの条件がダウンする可能性があることの覚悟は必要です。
大手は中小企業と比べて基本給や福利厚生が充実していますので、大手→中小の同業他社への転職でも条件面で下がる可能性があります。
キャリアを1から再スタートさせる異業種転職ともなれば、年収が下がる可能性はさらに高まります。
特に新卒から今までずっと大手で働いてきた人にとっては、ギャップがより大きく感じるでしょう。
年収の他に気付きにくいのが「福利厚生の手当て」です。
大手企業の場合は住宅手当や家族手当など、給与や賞与以外の手当てが充実していることが多いです。
月収は許容範囲内だけど、入社してみたら住宅手当がなくて生活が厳しくなってしまった、では後悔先に立たず、です。
そのため、大手企業から中小企業へ異業種転職する際は給与以外の条件面も考慮した上で慎重に決めた方が良いです。
30代以上の異業種転職は年収が下がる覚悟が必要
20代までの転職とは異なり、30代以上の転職からは「スキル」と「経験年数」が年収と密接に関わってきます。
そのため、30代以上の異業種転職は、年収が下がることを覚悟した方が良いです。
ただし、今いる業界が斜陽産業の場合は、これからどんどん需要が高まっていく業界へ転職することで、一時的に年収は下がっても、生涯収入は今の仕事と比べて大きくなる可能性は高まります。
また、今の仕事が自分に向いていない場合は、思い切って転向することで仕事面の不安やストレスを大幅に減らすこともできるでしょう。
どんなに収入が良い仕事だとしても、仕事の不安やストレスで身体を壊し、取り返しのつかないことになってしまっては元も子もありません。
収入面も大切ですが、仕事の将来性や、仕事から受ける影響など、様々な視点から検討しましょう。
焦って転職先を決めてしまった場合
転職活動が辛かったり、当初の予定より時間がかかったりしてしまうと、「何でもいいから内定が欲しい」と、本来の転職の目的から逸脱してしまうことがあります。
焦って決めてしまうことで、年収や諸条件をしっかり吟味せずに入社してしまうこともあるので要注意です。
私は過去に異業種転職した際、焦って決めたことで賞与・退職金がない企業に転職してしまったことがあります。
年収が下がった上に、残業が多いのに残業代が支払われないようなブラック企業でしたので、結局短期間のうちに別の会社へ転職することになってしまいました。
転職を考えた時、どうしても「今の辛さをどうにかしたい」という気持ちでいっぱいになってしまい、今悩んでいること以外の要素を軽視してしまうこともあります。
今の悩みを解決することももちろん大切ですが、転職後に別の要素で深刻な不満や悩みが出てしまっては、転職に成功したとは言い難いです。
異業種転職は、環境や仕事内容などを大きく変えることができる、またとないチャンスですので、後悔しないよう、慎重に決めたいものです。
異業種転職する際の年収面の注意点
異業種転職で後悔しないための注意点は、以下の通りです。
・生活費のシミュレーションを行う
・基本給以外の「見えない収入」も確認する
・転職で本当に今抱えている問題が解決するのかどうか?
生活費のシミュレーションを行う
転職する前に、今現在何にいくら費用がかかっているのか確認しておきましょう。
シミュレーションは、家賃や食費などの必要経費だけではなく、交際費や趣味の費用なども入れておくことが大切です。
シミュレーションを行うことで、最低ラインが分かりますので、転職時に収入が下がったとしても、いくらまでなら大丈夫か分かれば不安は抑えられます。
自分の許容範囲を知っておけば、どんなにやりたい仕事だとしても、
「生活水準が下がるのはちょっと…。」と、ブレーキを掛けることもでき、転職後の後悔を減らせるでしょう。
また転職とは直接関係ないですが、生活費のシミュレーションを行うことで、今まで気付かなかった浪費を減らし、貯蓄が増えることもありますので個人的にとてもおすすめです。
基本給以外の「見えない収入」も確認する
年収というと、どうしても基本給や賞与ばかりに目がいきがちですが、給与以外の「見えない収入」面のチェックも大切です。
通勤手当をはじめ、旅費・出張費や食事代など、積み重なればあるのと無いのとでは違いは歴然です。
こうした手当ては、金額や内容によっては非課税のものもありますので、うまく節税できれば、基本給が若干下がっても手当てが非課税になることで相殺される可能性もあるのです。
また、今の会社でどのような手当てをいくら程度受けているのかも確認しておくと良いでしょう。
転職先に今受けている手当てが受けられない場合は、実質の給与が手当て分下がることになりますので、額面だけで判断するより実感が湧きやすくなるはずです。
転職で本当に今抱えている問題が解決するのかどうか?
異業種転職を行うことで、今抱えている問題が解決するのであれば、多少年収が下がったとしても、転職を行った方が良いと言えるでしょう。
ストレスがたまる環境や、残業ばかりで毎日疲労困憊状態では作業効率も上がりませんし、何より精神的な余裕が持てず、心身に悪影響を及ぼしてしまいます。
年収が下がっても、プライベートを重視したい人にとっては時間や精神にゆとりをもてる仕事に転職する価値はあるはずです。
私はプライベートを重視したいタイプなので、いくら収入や条件面が良くても、残業が多かったり、勤務地が遠かったりする企業は選びません。
また、こうした「問題」や「自分の希望」というのは、実際になってみないとピンとこないものも多いです。
そのため、今抱えている不満以外の要素にも目を向け、
「今の仕事環境や生活で当たり前のものがなくなったらどう感じるか?」
と、今の環境から引き算で考えてみると、意外な発見ができることもあるでしょう。
給与の金額もそうですが、通勤にどの程度かかっているか、毎日何時ごろ家に帰ってきているのか、職場内のイベントは多いのか、など、あらゆる角度から整理してみましょう。
異業種転職では、仕事内容だけではなく、環境面も大きく変わります。
変化したことで解決できる悩みもありますが、変化することによって新たな悩みが出てくる可能性もありますので、転職前に自分が求めるものについて整理しておくことは大切です。
異業種転職で年収が下がる?【まとめ】
・大手から中小へ異業種転職する場合は年収が下がる可能性が高い
・30代以上はキャリアと経験年数によって年収が決まるため、異業種転職は年収が下がる
・焦って転職先を決めることで、見落としがあったり、判断が甘くなってしまったりする
・転職前に生活費のシミュレーションを行い、自分の最低限のラインを把握しておく
・基本給以外の「見えない」収入の影響は大きいため、これらの項目もチェックしておく
・転職によって今抱えている問題が本当に解決するかどうかの判断も大切
仕事のやりがいも大切ですが、将来に関係してくる金銭面も非常に大切です。
世間では「年収が上がらない転職は失敗」などと言われることもありますが、最も大切なのは、「自分は何のために異業種転職をするのか」だと私は考えています。
転職活動を行ううちに、辛さや焦りの気持ちから本来の目的を見失ってしまい、転職後に後悔する人は多いです。
大切な人生のターニングポイントですので、どうか無駄にすることのないよう、あなた自身の目的をしっかり定めて転職活動を進めてください。

「異業種転職が怖い」を解決!失敗しないための心構え4つとは?
・今の仕事が合わないから、全く別の仕事にチャレンジしたい
・異業種転職したいけど仕事についていけるか不安
というような悩みを抱えている人は多いです。
実際に、異業種転職の失敗談を見聞きするとより不安を感じますよね。
異業種転職は業界他社と比べて失敗した時のリスクが大きいです。
注意点を知っておけば、後悔するリスクを減らせます。
・異業種転職を考えているが、コツがよく分からない
・今の仕事が合わず、全く別の業種にチャレンジしたいがリスクが怖い
・異業種転職で失敗しないための情報を集めている
異業種転職で後悔しないための心構え4つ
異業種転職で後悔しないための心構えは、以下の通りです。
・転職先業種の情報収集
・異業種転職で活かせるスキルをつける
・転職エージェントの力を借りる

「今辛い」原因の洗い出し
これは異業種転職に限ったことではありませんが、今感じている「転職の動機」が、具体的にどういう原因なのかについてしっかり洗い出しておくことが大切です。
転職を考えるようになると「辛い、楽になりたい、辞めたい」というような、ネガティブな思考が先行してしまい、今抱えている問題の本質を見逃してしまうこともあります。
例えば「今の仕事が辛い」だけでは上司や他の社員との人間関係が悪くて辛いのか、仕事内容が合わなくて辛いのかなど、様々な理由が考えられますよね。
仮に、今の仕事の辛さの根本的な原因が職場の人間関係にあるのであれば、異業種転職で必ず解決できるとは言い難く、同業他社への転職に切り替える方が転職成功率も高めることができると言えるでしょう。
異業種転職は失敗してしまったときのリスクが大きいんです。
転職後に「辞めなければ良かった…。」と後悔することのないよう、「本当に異業種でなければ求めるものが得られないのか?」という点について今一度振り返ってみてもらいたいと思います。
転職先業種の情報収集
情報収集の目的は以下の2点です
・「転職先で通用する理由の整理」
「業界への理解を深め、ミスマッチを避ける」
異なる業界については、知っているようであまり知らないことも多いですよね。
極端な例ですが、業種のイメージが良く「自分に合っている」と感じても、実際に入ってみたら斜陽業種だったり、ブラック企業が多い体質だったりすることもあるものです。
行きたい会社や業種が決まっている場合、会社だけではなく、会社を取り巻く業界が経済の中でどのような立ち位置にいて、将来的にどうなるかを予測して選ぶことでミスマッチや失敗を減らすことができるでしょう。
情報取集の手段としては、ほとんどの人が会社のホームページや口コミサイトを確認する程度でしょうが、残念ながらこの方法では足りているとは言えません。
より多くのリアルな情報を収集するには、後述する転職エージェントからの情報や、実際に企業へ訪問/電話をして雰囲気を感じ取ること、さらに可能であれば顧客として希望企業を利用してみることなどが非常に有効ですよ。
異業種転職に限らず、転職で失敗する原因が情報不足であることがほとんどなんです。
入社前の理想と入社後の現実のギャップが許容範囲を超えてしまえば、後悔して元の会社へ戻りたくなる可能性も高くなるでしょう。
そうならないためにも、事前の情報収集はあらゆる手段を利用して集めておきたいところです。
「転職先で通用する理由の整理」
これは、選考対策ですね。
同業他社への転職であれば、過去の実績をそのまま示すことで面接官に理解してもらえますが、異業種の場合は過去の実績がどのように貢献できるか一歩踏み込んで説明する必要があるからです。
例えば、業種は異なっているけれども、営業や経理といった「同じ職種として貢献できる」ということや、これまで金融のシステム開発で培ったスキルをサービス業でのシステム開発や業務プロセスで活かせるといった「経験を応用して活かすことができる」、というようなものです。
異業種への転職というとハードルが高く感じるかもしれませんが、上記例のように実績に具体性を持たせることで面接官により納得してもらいやすくなるでしょう。
さらに、転職先で通用する理由やスキルといった「現職との共通点」を整理することで転職先での仕事イメージが掴みやすく、入社後のミスマッチも防ぐことができるのです。
異業種転職で活かせるスキルをつける
異業種転職は、同業他社からの転職者と比べるとどうしても不利なことが多いです。
そのため、履歴書や面接時の言葉だけではなく、実際に行動に起こしている「姿勢」や「多少なりとも知識がある」ことをアピールすることも大切ですよ。
また、20代の若手はともかく、30代以降の中途採用者は基本的に即戦力が求められます。
入社後の教育に時間や費用がかかると判断されてしまえば、他のライバルに負けてしまう可能性が高いため、少しでもスキルや知識をつけておきたいところです。
今の仕事と転職活動に加えて勉強も、となると大変に感じるでしょうが、転職先で求められるスキルの勉強や資格取得を事前にしておくことで「スキル=転職先の体験」ができるメリットがあります。
例えばIT業界でWebエンジニアとして転職したい場合、HTMLやCSS、JavaScriptといったプログラミング言語と密接に関わる仕事となります。
自分にとってそれらが合っているか、また仕事としてやっていけそうか、というシミュレーションをしておくことで、入社後のギャップを減らすことができるのです。
転職エージェントの力を借りる
同業他社への転職でも企業研究や面接対策など、やるべきことは多く、異業種転職ともなれば、やるべきことはさらに増えます。
また、異業種転職における書類・面接対策や自分に合った企業の探し方など、不安な点も多いでしょう。
その場合は、転職のプロである転職エージェントの力を借りるのも一つの手段です。
ほとんどの転職エージェントでは、以下のようなサポートが受けられます。
・企業へのプッシュ
・書類、面接対策
・選考のスケジュール調整
・企業の内部情報が事前に分かる
・その他転職に関わる相談
転職エージェントでは、一部の有料会員向けサービスを除き、ほとんどが「無料で」サービスを受けることができます。
私も過去に専門職から一般企業の事務職へ異業種転職する際に、転職エージェントを利用して転職を成功させることができました。
転職エージェント経由の選考は、応募者と企業の間に転職エージェントの担当者が入って、選考の合否連絡や次の選考スケジュールの調整をやってもらえるため、仕事と並行しながらの転職活動が非常にやりやすいんですよね。
さらに、書類や面接対策だけではなく、転職活動全般に関する相談も可能であるため、一人では不安な場合は非常に有効ですよ。
異業種転職が怖い人へ【まとめ】
・「今辛い」のは、異業種転職で解決できるのかどうか、転職動機について整理する
・ミスマッチを防ぎ、転職先で通用する理由を整理するために、転職先の情報収集をする
・異業種転職は同業他社と比べて厳しいため、入社後に活かせるスキルや知識をつけておく
・転職エージェントは無料で様々なサービスが受けられるため、一人で不安な人に有効
自分が求める働き方やキャリアビジョンがなく闇雲に応募するだけでは、異業種転職はおろか、同業他社でも転職を成功させることは難しいです。
さらに異業種転職は情報を一から集める必要があるため、「楽しそうだし収入も悪くない」といった安易な動機では入社後のギャップで辛くなる可能性があります。
ですが裏を返せば、働き方や求める仕事の軸がはっきりすれば、自ずとやるべきことが見え、転職の成功率を高めることができるということでもあるのです。
あなたのスキルや希望業界などを様々な角度から分析することで、満足できる結果を得られるはずです。