
節目ごとに発表される人事異動を知るたびに、「何でこの人がこの部署? 意味不明なんだけど」と、あなたも思ったことがあるでしょう。
他人事でも首を傾げたくなるというのに、それが自分のこととなればなお困惑するのは、当然のことです。
残念なことに、よほどの事でもない限り人事異動を拒む術はありません。
ですが、物は考えようとも言います。
ここでは会社側の意図を読み解きつつ、対処法を書いていきます。
もくじ
意味不明な人事異動をポジティブにとらえる4つの思考
①「好き」と「向いている」は別問題
営業からバックオフィスへ、またはその逆など、一見何の関係もないような部署への異動が出されることは珍しくありません。
せっかく馴染んだ職場を離れ、また一から仕事を覚えて人間関係を構築して、と考えると、うんざりしますよね。
また、あなたが今の業務を望んで入社したのであれば、「何でだよ!!」と思うのも当然のことです。
ただ、まったく職種の違う部署への異動も、デメリットばかりではありません。
何故なら、自分ではわからない特性というものを、上司が見つけている可能性もあるからです。
人間というものは、意外と自分自身のことは分かっていません。
例えば私の場合は、自分で「営業には全く向いていない」と事務畑を歩いてきましたが、異動で営業に回されて初めて「営業も向いている」ということを知りました。
それは、周囲が見つけてくれた私の特性です。
「好き」「得意」な仕事と、「向いている」仕事は合致しないこともあるという一例です。
もしかしたら向いているのかも知れない、と一呼吸おいて考えてみるといいでしょう。
②知らない部署を知るメリット
あなたにとっては不本意であったとしても、それがよほど不当な異動でない限り、会社からの職務命令に逆らうことはできません。
だからといって、すぐに転職を考えるのは早計というものです。
会社の人事異動は、基本的に
会社としてのパフォーマンスを上げること
を企図して行われるものです。
「人材育成」
「組織の硬化を防ぐため」
「属人的な仕事を減らすため」
「複数の部署を経験することで、横断的なネットワークが出来る」
など、目的は様々に存在します。
知らない部署の仕事を経験することは、決して無駄ではありません。
もちろん、馴染んだ職場から離れる面倒くささも分かります。
未知の仕事に向かう不安もあるでしょう。
ですが、いつまでも文句を言っていても仕方ありません。
そこに置かれたならば、思い切って飛び込んでしまうのが吉です。
私の場合は、よりによって自分が最も向いていないと思っていた営業に異動となり、内示が出てからというものの、それこそ胃薬が手放せないほどつらかったです。
と、上司に食って掛かったこともあります。
当時の我が社で、営業といえば「病休3ヵ月コース」を大量生産する部署。
課も8課まであり、人数は約200人。
常に人手は足りず、残業時間も総務の比ではありませんでした。
「とんでもないところに来ちまった」というのが、私の偽らざる感想でした。
異動後すぐに取引先への同行が始まり、必死に商材を覚え、1ヶ月でいくつかの取引先を担当することになりました。
それから1ヶ月は地獄のような日々でしたが、ある日、取引先の担当者に「あなたのプレゼンはいつも面白いですね」と言ってもらい、契約を取れました。
それが契機となって、営業が楽しくなったんです。
うちの商材で適したものは何か、それによって相手にどんなメリットが発生するのか。
取引先によって千差万別なそれを見つけ出して、提案することが楽しいと思えるようになりました。
知らない部署を知るということは、あなたの視野と可能性を広げることでもあると言えるのではないでしょうか。
③異動はチャンスでもある
「人材育成は会社の仕事じゃないですか」と、チームメンバーに言われたことがあります。
もちろん、その指摘は正しいです。
人材育成も会社の仕事のひとつです。
ですが、そういうことを言って来るメンバーの大半は、勘違いしています。
会社における「人材育成」とは、あくまで社員のパフォーマンスを最大化するための手段であり、教育が目的ではないのです。
つまり、「会社は社員が成長するための機会は与えるけど、成長するために手取り足取り教えてくれる学校じゃない。成長するかどうかはあなた次第だよ」ということ。
そう言うと、「会社って冷たいんですね」という意見も出てきます。
と苦笑するしかないのですが、この手の勘違いは実に多いです。
自分の労働の対価として給与がある以上、
自分は会社の利益に貢献することが求められている
という基本的な部分の理解が抜け落ちています。
こういう人は、人事異動によるチャンスを得ても、なかなか成長しないというのが私の経験上の見解です。
受け身でいてもある程度の知識を身につけられる学校と違い、会社での知識というのは、自分から勝ち取っていかなければ身につきません。
その新たな知識を得る機会こそ、「人材育成」の一環です。
会社側は本人の適性をきちんと見極め、その異動がどういう意味を持っているのかを説明する必要がありますが、異動を命じられる側にもそれを聞く姿勢がなければ、スタートラインにも立てないのです。
あなたの能力が一分野に特化されてずば抜けており、その能力が今の部署にピッタリと当てはまっているのなら、異動はただの無駄でしょう。
実際、そういう天才タイプの人もいます。
そういう場合は、内示の時点で上司にきちんとその旨を伝え、再考を促すべきです。
④キャリアプランを考える機会に
ジョブローテーションや人事異動というものは、
ゼネラリスト(広く浅く仕事が出来る人)を量産して
スペシャリスト(その仕事の専門家)を育てにくくさせている
という意見もあります。
果たしてそうでしょうか?
会社員のほとんどは、スペシャリストの素質を持っていません。
そして人事異動を行うことで、違う価値観と視点が部署に入り、組織が活性化するというのも事実です。
専門性を持つということは、視野と選択肢を狭めるということでもあります。
キャリアアップのための転職を、と考えた時、その専門性一本で勝負になるかと言えば、はなはだ疑問です。
ただ単に
いうだけでは何の武器にもなりませんが、色々な部署を経験した上で、スキルや見識を積み増すことが出来れば、それは立派な武器だと言えます。
あなたが人事異動の対象者であるならば、悲観的にならず、意欲的に新しい仕事に向かってみてほしいのです。
あなたの意に染まない仕事であろうと、真剣に向き合っていくことで、あなた自身が得るものも大きいですが、上司からの評価も必ずついてきます。
頑張ってみて、どうしても合わないとなった時に転職を考えるくらいの気持ちでいると、少し気持ちも楽になるのではないでしょうか。
今後のキャリアプランを考えるうえでも、いい機会にしてほしいです。
嫌がらせ人事ならば、転職を迷わない
会社規模の大小を問わず
「嫌がらせ人事」
と呼ばれるものがあるのは事実です。
例えば、リストラ候補を自主退職させるために「整理ポスト」と呼ばれるような、部署とも言えないような場所に追いやったり、
無理だと分かっているのに、経理の人間を工場の現場作業に異動させるような人事です。
経済的な理由、家庭の事情、年齢など、転職をためらう気持ちも分かります。
だが、もしあなたがそのような環境に置かれているのだとしたら、すぐに転職をお勧めたいです。
なぜなら、あなたのその会社でのキャリア継続は、もはや望めないからです。
そんな仕打ちをする会社に、あなたが貢献してやる価値はありません。
何の成長も見込めない場所でくすぶり、ストレスを溜めて心身を損なうくらいならば、新天地を求めて飛び出す方がよほどマシです。
人事異動意味不明と感じたとき【まとめ】
・意味不明と思考停止しない
・異動は成長機会だと捉える
・嫌がらせ人事なら、すぐに転職を考える
一見すると
という人事異動にも、色々な思惑と期待があります。
あなたが対象者ならば、戸惑ったり、不安になったりと、落ち着かない日々を過ごしていることでしょう。
私がメンバーに言ってきたことは
ということ。
あなたの上司もそう考えたからこそ、あなたの異動にOKを出したのではないでしょうか。
新たな知識を得ることは、決してあなたにとってマイナスにはなりません。
そう考えて新しい職場に向かえば、遠からず結果が出るはずです。
たらい回しにされているかチェック!人事異動回数が多い人の理由4つ
同じ会社で同じ職種にもかかわらず、人によって異動回数は様々です。
他の人と比べて人事異動回数が多いと「もしかして、たらい回しにされている…!?」と、不安に感じるでしょう。
ここからは、人事異動でたらい回しされているかもしれないと悩んでいる人へ向けた、異動回数が多い人の理由と異動を断る際の注意点を紹介します。
理由のない人事異動はないため、あなたの異動理由の本質が分かれば、社内の立ち位置が明確になるはず。
人事異動回数が多い人の理由は、以下の通りです。
・会社からの期待の表れ
・独身者である
・人手が足りない部門がある
・厄介者扱いの可能性
会社からの期待の表れ
会社から将来を期待されている人は、異動が多くなる可能性があります。
気たるべき将来のために様々な部署を経験させることでスキルアップを図りたい、という考え方です。
また、社内の様々な部署を経験し、部署ごとの関係性について知ることは、本来の担当業務でのスキルを高めることにつながるでしょう。
さらに、会社の新規事業への異動や、肝いりの部門の担当に抜擢された場合などは、会社からの期待が極めて高いと言えます。
いずれにしても、会社から期待されている場合は、異動回数が多くても異動の条件が良かったり、出世を伴ったりするケースが多いため、分かりやすいはずです。
ただし、このケースの異動を断ってしまった場合は出世コースから外れてしまうこととなるため、事前に打診された際はよく考えた方が良いでしょう。
独身者である
どうしても、独身者で若手であればあるほど、異動の対象になりやすいものです。
理由としては、家庭の事情等によって異動が難しい可能性が低く「すぐに動けるだろ。」と、判断されているから。
また、若手には社内の様々な部門を経験させた上で適正な配置部署を決定したい考えもあるといった理由もあります。
確かに、私が以前働いていた職場でも若手かつ独身の人が遠距離への転勤や、短期間での転勤を繰り返していました。
独身というだけで短期間に何度も異動させられてしまうのは不平等に感じるものですが、考え方によっては、会社にとって必要な人事異動に貢献できる人物であるという評価を得ているとも言えるでしょう。
その上正当な理由なく断ってしまえば、会社からの評価は大きく下がってしまうため、断る際は要注意です。
人手が足りない部門がある
社内の別部門において退職者が多いことや、事業拡大などによって人手が足りない場合も必然的に人事異動の回数は増えます。
この場合は完全に会社都合の理由となるため、
・たらい回しにされている
・前の上司に嫌われた
などと不安になる必要はありません。
むしろ、有事の際に動かしやすいということは、仕事に対する適正や職場での人間関係が評価された結果であることが多いため、人手不足が理由とはいえ、「この人ならやってくれるだろう」と期待されていることは間違いないでしょう。
異動自体は決して楽ではありませんが、「左遷」や「たらい回し」といったネガティブな理由に不安がることなく社内の様々な業務を経験できることは、あなたのキャリアにとって大きな糧となるはずです。
厄介者扱いの可能性
会社からの評価が低かったり、何かしらの問題を抱えていたりすることで、「厄介者扱い」されて異動が多い可能性も・・・。
本人に落ち度は一切なくても、会社から一方的に「要注意人物」として睨まれて事実上たらい回しにされていることも充分あり得ます。
実際に、私が以前働いていた職場では、上司の不正を会社上層部へ報告した先輩社員が各部署をたらい回しにされ、最終的には左遷されてしまったことがありました。
その先輩社員はとても有能で人柄も良く、職場の人間関係に何も問題はなかったのに。
しかし、職場が封建的な社風ということもあり、一度会社の上層部に睨まれてからは一度下がった評価を戻すことは難しかったのです。
人事異動があまりにも多いと感じている場合は、今一度会社における自分の立ち位置を見直してみることで表面上の理由以外のものも見えてくるでしょう。
人事異動を断る時の注意点
人事異動を断る時の注意点は、以下の通りです。
・断る時は雇用契約書を確認する
・「やむをえない事情」があるかどうか
・会社が人事権を濫用しているのが明確かどうか
・「辞令」の場合は懲戒解雇になる可能性がある
断る時は雇用契約書を確認する
雇用契約書において、勤務地や職種が限定されており、規定されている以外の地域や職種への異動を命じられた場合は契約違反となるため、拒否することが可能です。
雇用契約書で定められている以外の異動を命じる場合は、本人の同意があって初めて有効と見なされるからです。
そのため、異動を拒否したいと考えている場合は会社と交わした雇用契約書の内容を確認することが第一。
また雇用契約書以外にも、就業規則に「配置転換を命ずることができる」旨の記載がない場合も、異動指示が成立しない可能性が高いため、確認することをお勧めします。
「やむをえない事情」があるかどうか
・家族の病気が特殊で、転勤先では治療が受けられない場合
・家族の介護が必要だが、どうしても自分以外に介護できる人がいない
といった理由がある場合は、異動を断ることができる可能性があります。
ただし、特別な理由があるからといって100%取り下げてもらえるとは限りません。
実際に、過去の裁判では「通常甘受すべき不利益」であるとして、労働者側の主張である
・病気がちの親の面倒をみたい
・子供が幼いため、単身赴任を余儀なくされる
程度の事情では、打診を拒否する正当な理由ではないとみなされた判例も存在するため要注意です。
理由はともあれ、会社によって最終判断が異なります。
また内示を取り下げてもらえても、その後の評価に大きく関わる可能性もあるということに留意しておいたほうが良いでしょう。
会社が人事権を濫用しているのが明確かどうか
異動理由が、「嫌がらせ」や「報復人事」などの不当な動機による異動や、業務上必要がなく、経緯に問題がある場合は、会社の人事権の濫用にあたるため、異動の拒否ができる可能性が高いです。
またその他に、社員の思想や信条、国籍、性別や妊娠・出産などを理由に異動させることも拒否することができます。
しかし、拒否する場合は会社の不当性を立証できる証拠が必要となるため、物的証拠がない場合は異動を拒否することは難しいでしょう。
「辞令」の場合は懲戒解雇になる可能性がある
まず人事異動のステップとして
基本的には内示→辞令という流れとなりますが、会社によってはいきなり辞令を出すこともあるため、要注意です。
内示とは正式な辞令を交付する前に、該当する社員に通知することで、辞令とは、会社が社員に対して命令すること。
「内示」そのものは、社員が断る可能性を念頭において行われているため、「正当な理由」があれば拒否することもできます。
ですが「辞令」の場合は既に決定された段階であるため、拒否すると業務命令違反とみなされ、最悪の場合は懲戒解雇もあり得るのです。
また人事異動に関する辞令は、
・辞令を発する側に権限がある
・権限を持った人物が辞令を発令する
場合であれば口頭で本人に伝えても法的に問題ありません。
つまりある日突然呼び出され、会社から「辞令」として人事異動を命じられた場合は、会社側が職権濫用するというような、よほどの落ち度がない限り、断ることはできないのです。
また人事異動は、パートや契約社員も例外ではありません。
就業規則に
・人事異動を命ずることがある
・就業場所の変更がある
というような文言があれば、辞令は受け入れなければならないのです。
そのため、就業規則を今一度確認しておくことをお勧めします。
人事異動はたらい回し!?【まとめ】
・会社から将来を期待されている人は、スキルアップのために異動が多いことがある
・独身者の場合は、どうしても家庭などの事情がある人に比べて異動が多い
・社内で人手が足りない部門がある場合も、会社都合で都度配置転換を命じられる
・何かしらの理由で会社からの評価が低い場合も異動が多くなる傾向がある
・雇用契約書で定められた勤務地や職種以外の異動を命じられた場合は拒否可能
・家族の病気や介護といった特殊な事情がある場合は異動を拒否できる可能性がある
・嫌がらせや差別といった、会社が人事権を濫用している場合、証拠があれば拒否できる
・「辞令」を断ると、最悪懲戒解雇の可能性がある
人事異動にはポジティブなケースとネガティブなケースが存在します。
そのため、今回紹介した異動が多くなる理由をよく理解し、ネガティブなケースに当てはまらないように行動することが大切です。
人事異動は職場環境が変わり、心身の負担も大きいものですが、一方で短期間に様々な部署を回ることで幅広い人間関係を築き、会社全体を見渡すことができるメリットも存在します。
思わぬ自分の適性や、会社の新たな側面の発見できる可能性もあるため、深刻に受け止めすぎないことが新しいキャリア構築において大切と言えるでしょう。
内示が出た時の注意点と印象を良くする対処法4つ
次に、内示が出た際にやるべきことを紹介します。
内示が出た時点からやるべきことはたくさんあります。
予めシミュレーションしておけば安心です。
いざ人事異動の内示が出た際にやるべきことは、以下の通りです。
・異動理由を確認
・異動の周知や挨拶、引き継ぎについて確認
・引き継ぎ書を作成
・新しい上司や社員の情報収集

上司にお礼する
忘れがちですが「上司にお礼を伝える」ことはとても大切です。
もちろん上司との関係が冷え切っていたり、内示の内容が酷かったりする場合は無理にお礼を伝える必要はありません。
ですがそうでなければ、これまでお世話になったお礼を上司へ伝え、さらに、納得のいく人事であればそのような配慮をしてくれたことに対するお礼を言うと良いでしょう。
自分が人事異動すると考えると、どうしてもそのことで頭がいっぱいになってしまい、周囲に気が回らなくなるもの。
ですが、そのような時だからこそ、一言お礼が言えるかどうかで上司のあなたに対する評価は大きく変わるでしょう。
組織の一員として会社で働く以上、異動すれば上司との関係は終了、というわけにはいかないのです。
これまで培ってきた上司との人間関係をより良いものとすることで、あなた自身の社内の評価、ひいては将来的なキャリアへ繋がることとなるでしょう。
異動理由を確認
異動理由を紐解くことで、あなた自身の「人事的な評価や社内における位置づけ」が見えてくるでしょう。
例えば営業としてA営業所からB営業所へ異動する場合。
B営業所の方が社内で格上の場合は目に見えないながらも「栄転」です。
また移動先のB営業所の方が格下であっても、
上司から「成績を立て直してもらいたい」などというような、前向きかつ具体的に期待する言葉をかけられた場合であれば、あなたの能力がかなり期待されていることが分かるでしょう。
このように、人事異動先や理由を分析することで、今現在の自分の立ち位置を確認することができるのです。
ですが、どんなに良い内容であったとしても、受け取る側の心理によっては真逆となることもあるでしょう。
まずは冷静になり、異動理由を色眼鏡で考えないことが大切です。
自分の立ち位置や評価されているポイントが分かれば、たとえ満足いく人事でなかったとしても、モチベーションに繋がるはずです。
異動の周知や挨拶、引き継ぎについて確認
内示を受けたら、異動する際に周囲や新任先への挨拶、業務の引き継ぎ方法について確認しましょう。
会社によっては、正式に辞令が出るまでは口外NGという場合もあります。
また、異動前の新任先とのやり取りや引き継ぎ等に関することは、それぞれの上司同士の話し合いによって決められることが多いため、上司の顔を立てるためにも、先走って新任先の上司に連絡をとるようなことは控えたいところ。
もちろん会社によってルールや伝統が異なりますが、確認しておけば、自分がやるべきことや異動までのスケジュールが明確になるでしょう。
引き継ぎ書を作成
異動が分かったら、後任の人が困らないよう、引き継ぎ書を作成するのが担当者としての義務です。
いい加減な引き継ぎをしてしまうと、異動後に後任者から問い合わせが来てしまうこともあるでしょう。
そうならないためにも、業務の意図や資料の保存先、業務ごとのスケジュールなど、引き継ぎに必要な情報に漏れがないよう作成したいですね。
引き継ぎにあたって重要なのが
・引き継ぎのスケジュール
・後任者は誰か
・上司の承認
の3点です。
まずは後任者に会える回数や期間、それと取引先への挨拶のスケジュールを確認し、そこから逆算して、どの程度のレベルの引き継ぎ書が必要か判断します。
さらに後任者が同じ部署の人なのか、新入・中途入社社員なのかといった、どのような属性の人間なのかを確認することで、伝えるべき要点も変わるでしょう。
そして最後に、引き継ぎのスケジュールと伝えるべき内容が決まったら、予め上司の承認を得ておくようにしましょう。
あなたの異動後も、上司が業務に対して責任を負う立場になるため、上司が納得する内容で引き継ぐべきです。
また、事前に上司の承認を得ておけば、引き継ぎ後にトラブルが発生してもあなたが責任を問われる可能性は低くなります。
自分を守るためにも、上司へお伺いを立てておくと安心ですよ。
新しい上司や社員の情報収集
異動先の上司や社員に関する情報収集も、とても重要なことです。
例えば、
・人となり
・キャリアや実績
・仕事のスタイル
・社内の人脈
などです。
異動先は今後の人生に大きく影響を与えることになります。
上司の仕事のスタイルや人となりによっては、これまでとは対応の仕方が大きく変わる可能性もあるでしょう。
そのため心の準備をしておく意味でも、集めた情報から立ち回り方について考えておくことは非常に大切です。
内示が出たときの注意点【まとめ】
・内示が出たら、お世話になった上司にお礼を伝えると良い
・異動先や理由を分析することで自分の評価や立ち位置が分かる
・異動の挨拶や引き継ぎ方法について上司に確認する
・異動後に元上司や後任者が困ることのないよう、引き継ぎ書をしっかり作成する
・異動先の上司や社員の情報を集め、対応方法について考えておく
会社員として働く以上、人事異動を避けて通ることはできません。
そのため、いつ人事異動の打診を受けても良いように自分の価値観を整理しておくことが大切です。
「今の会社で出世することが一番大切」
なのであればどのような人事でも受け入れ、
「家族との時間が大切」
なのであれば、場合によっては断る可能性もあるでしょう。
人事異動は、「辞令」前の段階であれば断ることは形式上可能であるため、今後のためにも、自分なりの意思と責任をもって回答したいものですね。