
日本ではうつ病に悩む人が増えており、潜在的な患者も含め、約4人に1人の割合でうつ病患者がいると言われています。
うつ病は再発する可能性もあるため、転職の際にどのような仕事を選べばよいか悩む人は多いでしょう。
私もうつ病で退職した経験がありますが、
ここでは、うつ病の方に向いている仕事・避けるべき仕事の特徴と、転職時の注意点について、実体験に基づいて紹介します。
転職先でうつ病が悪化してしまうと長期間泥沼にハマってしまうため、慎重に吟味してもらいたいです。
もくじ
うつ病に向いている仕事の特徴4つ
うつ病に向いている仕事の特徴は、以下の通りです。
規則正しいリズムで働ける
残業が多い職場や休日が極端に少ない職場では、心身の負担が非常に大きいため、決まった時間に働くことのできる仕事が良いです。
毎日出社・退勤時刻が同じであれば日々の計画も立てやすく、オンとオフのメリハリがつきやすいでしょう。
自分の時間もしっかり確保できるということは、その分仕事から離れられる時間が増えるということ。
また、先々の予定が分かりやすい職場であれば、余暇の過ごし方を計画することもでき、楽しみが増えます。
そして、規則正しい生活から精神的な安定が生まれ、心理的な負担も少なくなるはずです。
業務中の変化が少ない
人によって症状は異なりますが、うつ症状によって思考が鈍ることで判断に時間がかかってしまうこともあります。
臨機応変な対応が必要とされる仕事では、心理的プレッシャーがかかりやすいため、決まった作業をもくもくとこなせる仕事の方が負担を減らせます。
また、忙しい職場だとマニュアルを用意する余裕もなく、自力で解決することを要求される場合もありますが、仕事に慣れるまでとはいえ、判断力が低下している状況ではかなり辛いですよね。
不安な場合は、マニュアルの有無や入社後の指導方法がしっかりしているかどうかについて、面接時に確認するのも良いでしょう。
職場のフォロー体制が整っている
そのため、転職後も、症状が優れない日や通院時に「職場に迷惑をかけてしまう」と思ってしまい、無理をして悪化させてしまうこともあります。
職場に必要とされている期待に何としても応えたい気持ちもあるかもしれませんが、無理をした結果、症状が重くなってしまっては本末転倒です。
そのため、万が一体調不良や通院で休みたい時などのフォロー体制がしっかりしている職場がおすすめです。
ノルマがない
数字だけで評価されるような仕事は、心理的な負担が大きいため、避けた方がよいでしょう。
元気な時はプレッシャーを糧にして頑張ることができていたとしても、うつ病時は、ストレスになりうるものをできるだけ減らすことが第一です。
今まで出来ていたことができなくなってしまって焦る気持ちもあるかもしれませんが、まずは元気になることを最優先に選んでもらいたいです。
うつ病に向いている仕事例4つ
うつ病に向いている仕事例は以下の通りです。
・事務
・清掃
・軽作業
・ライター
「ノルマがなく、自分のペースでできる仕事」
であるという点です。
他者との連携が少なく、コツコツできる仕事であれば、ストレスをコントロールしやすいんです。
人によっては
・文章を見るのが辛い
・体力が著しく低下した
といったような事情もあるため、あなたにとって一番負担が少ない仕事を探すと良いでしょう。
ですが、業種や職場の規模が大きいと負担が大きくなる可能性もあるため、職場を選ぶ際は注意が必要です。
うつ病の人が避けるべき仕事の特徴3つ
うつ病の方は、以下の特徴のある仕事は避けるようにしてください。
・勤務時間が不規則な仕事
・ノルマがある仕事
うつ病の人にとって「どんな仕事をするか」よりも「安心して穏やかに働ける環境」を確保することが何よりも大切です。
また同じ仕事でも職場によって環境はかなり変わりますので、転職の際は条件や環境面を重視して探すことをおすすめします。

残業が多く、勤務時間が長い仕事
残業が多い職場の場合、仕事中に時間や仕事に追われるため、心身的な負担が大きくなってしまうので避けた方が良いです。
うつ病になる人はとても真面目で勤勉ですので、周囲が当たり前に残業しているような環境では「私も頑張らないと。」と、無理を重ねてしまい、うつ病が長引き、最悪の場合は悪化してしまう可能性もあります。
勤務時間が不規則な仕事
うつ病完治を目指す上で「規則正しい生活」は外せない要素の一つです。
うつ病の原因は、脳内の伝達物質の「セロトニン」が不足することだと言われています。
セロトニンは、別名「幸せホルモン」と呼ばれており、気分穏やかにしたり、意欲を向上させたりしてくれます。
太陽の光を浴びることで分泌され、夜になると睡眠を促すホルモンの材料となるので、規則正しい生活がうつ病の治療に必要な「気持ちを落ち着ける」・「良質な睡眠」の確保に繋がるのです。
そのため夜勤などによって生活のリズムが乱れてしまうとセロトニンの分泌が上手くいかず、うつ病が慢性化してしまう原因となってしまうので、こうした仕事も避けるようにしましょう。
ノルマがある仕事
営業や販売の仕事のような、ノルマに追われたり、人と争わされたりする仕事は心理的な負担が大きいので、避けた方が良いです。
うつ病になる人は、もともと頑張り屋さんですので、達成すべき目標を強制的に課されてしまうと、無理してでも頑張ってしまいます。
そういった環境では治るものも治らなくなってしまいますので、あなたのペースでできる、「頑張らない」仕事を探すことが大切です。
うつ回復後の転職活動で注意すべき点3つ
うつ病で転職活動を行う際に注意すべき点は以下の通りです。
・転職活動の期間を長めにとっておく
・担当医師へ相談してから活動する
・自分自身をしっかり理解する
転職活動の期間を長めにとっておく
転職活動は、健康な人にとっても少なからず体力・気力を消耗するものです。
また、「早く働きたい」という意欲が高いほど、すぐに仕事が決まらないことに焦りを感じてしまうでしょう。
そのため、転職活動の期間を自分の想定よりも長めにとっておくことで、心身の負担を大幅に減らすことができます。
大切なのは、「内定をもらうこと」ではなく、
「自分に合った職場を見つけること」です。
担当医師へ相談してから活動する
自分では「もう元気になった」と思っていても、実際にはもう少し休息が必要な場合もよくあることです。
どのような病も、治りかけの時期に自己判断で薬の服用を中断してしまったり、通院をやめてしまったりすることでぶり返すことはよくあるもの。
うつ病も同じで、一気に症状が治るというよりは、症状が安定してから少しずつ段階を経てようやく自分でコントロールできるようになるものです。
そのため専門家であり、客観的な視点を持っている担当医に相談した上で今後の方針を決めたほうがよいでしょう。
自分自身をしっかり理解する
うつ病に限らないことですが、
「自分がどうしても我慢できないことは何か」
について理解を深めておくことは非常に重要です。
うつ病になってしまった原因を振り返ることはとても辛いことかもしれないが、目を背けて次の職場で同じストレスを抱えてしまっては問題解決にはならないため、
「自分が絶対譲れないもの」と
「譲れるもの」
について整理しておくことをお勧めします。
ですが、うつ病が回復して間もない頃は、自分自身を客観的に見ることも難しいでしょう。
体調が元気そうであれば、身近な人からあなたの長所・短所について評価してもらうのも、自分を知るための一つの方法です。
私はうつ病で退職した経験がありますが、自分の理解が十分でないことによって、社会復帰後に合わない職種を選んでしまうなど、非常に遠回りをしてしまいました。
今ではようやく自分が求めていた働き方を見つけることができましたが、
「自分のことは自分が一番分かっている」という自信を一度は疑ってみる
ことの大切さが身に染みた経験でした。
まとめ
・うつ病に向いている仕事は、時間的・業務的な変化が少ない仕事
・症状が優れないときなどにすぐに休める職場も大切
・数字だけで評価される仕事は心理的負担が大きいため、避けた方がよい
・事務職や軽作業などの、自分のペースでコツコツできる仕事がうつ病におすすめ
・転職活動は、焦らずに担当医へ相談した上でゆっくり始める
・自分自身を理解することが、転職後のうつ病再発リスクを減らす鍵となる
うつ病は、外科的な病とは異なり、ゴールが分かりにくいものです。
そのため、結果を焦ってしまうことで症状が悪化してしまうケースもよくあります。
また、一度治ったから今後絶対うつ病にならないという保証はどこにもありません。
私もうつ病で退職してから、強いストレスを受け続けることで、何度かうつ病が再発した経験があります。
つまり、自分を理解し、できる限りストレスを減らす努力が大切なのです。
「自分がやりたい仕事」と「自分に向いている仕事」は必ずしもイコールではないため、時間をかけてあなたが本当に求めているものを見つけてもらいたいです。